暮らす記録。

シンプルライフをめざして日々こまごまと。

明治42年提唱の簡易生活(と書いてシンプルライフ)

本棚から久しぶりに「いつからでも家計上手」を出して、ぱらぱらやっていたら、冒頭に何編か載っている、往時の婦人之友の記事の抜粋が目に止まった。

「簡易生活」と書いてシンプルライフとルビを打っている。今みたいにミニマルだ断捨離だとはやる前から、婦人之友がシンプルライフを提唱していたのは知っていたのだが、明治からだったとは知らなかったな。

そのなかでもなかなか平易でわかりやすく、そうだよね〜そうなんだよね〜今も変わらんよね〜、と頷いてしまったのが、田中米さんという方の文章。

 

「…また同じわが家でも広すぎる方ですと、借地ならば地代も多くいり、持ち地でも税が出ますし、屋根の手入れ、畳がえ、垣をなおすにしても、庭まわりの始末にしても、それからそれと費用が嵩み、人手も注意も、届かぬがちになりますと、見る間に荒れて、家の寿命を縮め、日々の住み心地はいうまでもなく悪くなり、その中の生活は知らず知らず不規律になりやすいかと思われます。どちらかと言えば、少々狭いがきずと思う位の家ですと、道具を買うにしても大げさなものは釣り合わず、我楽多がふえては収まらぬというので、家の中が自然簡易になり、生活の手数がはぶけ、また質素なる家風をつくるもとになるようでございます。それに隅から隅まで目の届かぬ所がありませんから、手入れもよく届くようになります。

(中略)

食物については、料理法と分量とが最も大切だろうと思います。(中略)主婦の心にこの見積もりが出来ていませんと、食物の材料から、それをむいたり切ったりする時から、炭薪までも不経済になります。(中略)五、六人の家内ならば、一時に買うと割安だからというように思って、いろいろのものを買い置きにするのは、食品の風味を損ずるうえに、自然勝手元や戸棚の中に、物がゴタゴタと多くなり、簡易生活の趣意にも違うように思います。」

 

まさに、シンプルに暮らそう、ミニマリストを目指そう、と2015年現在を生きている人たちの言っていることと変わらないな、と思ったのでした。

 

この本、タイトルからすると婦人之友流家計管理でも学べそうだけど、それなら大体秋冬ごろ発売の「かぞくのじかん」とか「婦人之友」の家計特集を読んだ方がよっぽど実践的です。

この本は実践というより、羽仁もと子氏の著作の家事家計編の抜粋とか、上記のような昔の人が書いた生活や金銭に対する心構え的な記事が多いし、「家計簿をつけ通す同盟」から見る戦後の家計の動き統計とか、実際にこの会社の家計簿をつけている人のアンケートなどから構成されているので。

 

 婦人之友マニア向けの本なのでした。

 

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